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病気を経験して抱いた夢は、出会った人達への恩返し

小学3年生の時、大病を経験し身体に麻痺が残りました。突然思うように身体を動かせなくなり、今まで普通に出来ていたことも難しくなり、突如生活は一変してしまいました。それゆえにどこへ行くにも両親が付き添ってくれました。もちろんありがたく感じていましたが、やはり友達のような気楽さはなく、心の中では窮屈に感じていました。同級生からは障害を揶揄するようないじめにも遭い、学校にも家にも「私にとって安心できる居場所はないのだ」と思うようになっていきました。
数年たっても身体もなかなかうまく動かせず、何度も道端で転ぶたび「自分は何もできないんじゃないか」という思いが浮かんできて、心の中が冷たくなることもしばしばでした。
自由にやりたいことを生き生きとやりたい―――
それは私の人生においてずっと消えることのない、願いのような感情でした。

押し殺してきた気持ちを解放してくれた「推し活」

ようやく自活できるようになり、実家を離れることができたのは33歳の頃でした。せっかく生まれてきたのだから、これからはやりたいことをして生きたいと思いました。
そうは言っても今まで抑圧されてきた人生。簡単に「あれをしよう!」「これもやりたい!」とは浮かんでこないものです。
そんな時、なんとなく見ていたドラマの再放送に、昔大好きだった俳優さんが出演していました。
ネット検索してみると、今は舞台にも出ている事がわかりました。
会いに行けるのか。行ってみよう!
ファンクラブもあったりするのだろうか?問い合わせてみよう!

当時はそんな言葉はなかったのですが、今でいう「推し活」によって毎日に彩りが生まれました。
俳優さんに会えたことによって、今までのやってみたかった気持ちを押し殺してきた、色々なことをしてみたいと思うようになり、心の奥底から活力がゆっくりと戻ってきました。
結果、私の好奇心のような、欲のようなものに気づくことで物事が進み、舞台へとつながることができ、その後、自分自身も舞台に立つまでになるのです。

人とつながることで生まれる「ご縁」

それからの私は、自分でも驚くほどに精一杯色々な挑戦をしました。舞台鑑賞に夢中になるうちに、見て楽しんでいる立場から、演じる事のすごさに心打たれ「自分も演じてみたい。障害を持っていても舞台に立てる劇団はないだろうか?」と探した結果、ある劇団を見つけ実際に舞台に立つこともできました。劇団では様々な話し合いや、例えば立ち位置を示すテープが蓄光テープになっているなど、私の障害への配慮があり、おかげで自分らしく演技をする事ができ、感謝と感動の気持ちでいっぱいになりました。
「やればできる」「私の居場所はここだ」と強く感じ、この体験は自信になり、人に頼ること、相談することへの心理的な障壁を徐々に取り払ってくれたように思います。
そこでは舞台俳優仲間ができ、その縁でラジオのゲストに呼んでもらってラジオで話す楽しさを知ることに繋がりました。
そこからラジオパーソナリティとしての勉強や経験を一年ほど続け、話すことで「同じような境遇にある人達を応援していきたい、元気づけたい」と強く思うようになりました。
そのラジオ局とは離れることにはなりましたが、そこでつながったご縁のあった方々には今も相談することもあり、人とつながること、人と人との「ご縁」は人生で大切にしている指針のひとつです。

今を楽しむために、実践していること

このような経験から、私は「やりたいと思ったことは思い切って飛び込んでみる」そして、相手方にも自分にも無理のない範囲で「周りの人を信じて頼る」ということがいかに重要かと思うのです。ひとつひとつは大きな一歩ではなくても、結果的に私の人生をこうして変えてくれたのですから。
今すぐ何かを始められなくても、ほんの小さな一歩でも初めてみる。そういう思いを持ち続けることで、少しずつでも人生はいい方へと変わっていくこともきっとあると信じています。

いつになっても新しい挑戦

今も新たに来たる6月に「ホンマルラジオ渋谷恵比寿局」でラジオパーソナリティとして活動することが決まっており、またひとつ新しい挑戦の途中です。
「好きなもの」「やりたいこと」に正直で居続けること、小さな一歩でも挑戦をし続けること、そして今まで繋がって自分をここまで支えてくれた「ご縁」への感謝を胸に、人生の変化をなるべく前向きに捉え、今後も様々な挑戦をし、その挑戦がまた誰かを元気づける可能性を祈りつつ、まい進してゆきたいと思っています。

番組タイトルは「ありがとうの先にあるご縁」です。
パーソナリティー名は「河合由起子」です。
詳細は追ってお知らせいたします。ご興味のある方はぜひお聞きください。

河合さんの体験談は今後も掲載予定です。次回以降の体験談もお楽しみに!
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グルホネット編集部
グルホネットのコラム、取材記事といったコンテンツ作成を担当しています。就労継続支援A型に勤務されている利用者さんといっしょに作成しています。