障がい者・高齢者グループホームの選び方 その①~65歳問題を徹底解説~

グループホームの利用を検討する際、年齢制限があることをご存じない方も多いです。というのも、「グループホーム」と聞くと、高齢者福祉に関するサービスだというイメージが強いからではないでしょうか。
障がい者福祉サービスの「グループホーム」と、高齢者福祉サービスの「グループホーム」は、全く違うサービスなのですが、同じ呼び方なので混同されている方も多いかもしれません。
また、65歳という年齢を境に、障がい者福祉と高齢者福祉サービスの利用、どちらを選択するかによって、サービス内容や費用負担に大きな影響が出てきます。今回は、障がい者用グループホームと高齢者用グループホームの違いを中心に、65歳を境とした注意点を詳しく解説します。
障がい者用グループホームの年齢制限
障がい者用グループホームは、主に以下の方々を対象としています。
1. 知的障がいのある方
2. 精神障がいのある方
3. 身体障がいのある方
4. 難病を患っている方
ここで重要なのは、知的障がいや精神障がいのある方については、65歳以上であっても障がい者グループホームに入居できるという点です。これは、障害者総合支援法に基づくサービスであるため、年齢による制限がないためです。
一方、身体障がいのある方については、以下のいずれかに該当する必要があります。
- 65歳未満の方
- 65歳に達する日の前日までに障がい福祉サービスを利用したことがある方
65歳という年齢制限がある理由は、65歳を超えた方には、身体障害者が区分認定が降りない(=サービス利用ができない)からです。
これに限らず、年齢により利用できるサービスが変わったり、新たな利用を制限されることを、『65歳問題』とも言われています。
原則として、障がい者グループホームの対象は18歳以上ですが、特定の条件を満たす場合は18歳未満でも利用できる場合があります。
高齢者用グループホームの年齢制限
高齢者用グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、主に以下の方々を対象としています。
1. 認知症の診断を受けた65歳以上の高齢者
2. 要支援2または要介護1以上の認定を受けた方
高齢者用グループホームは、認知症の方が専門的なケアを受けながら、できる限り自立した生活を送ることを目的としています。
65歳未満の認知症患者のグループホーム入居について
65歳未満でも認知症と診断された場合、介護保険のグループホームに入居できる可能性があります。これは「若年性認知症」と呼ばれ、介護保険の特定疾病の一つに該当します。
若年性認知症の方が介護保険のグループホームに入居するためには、以下の条件を満たす必要があります。
1. 40歳以上65歳未満であること
2. 医師から若年性認知症の診断を受けていること
3. 要支援2または要介護1以上の認定を受けていること
ただし、若年性認知症の方向けのグループホームは数が限られているため、入居までに時間がかかる場合があります。また、年齢が若いことによる特有のニーズに対応できる施設を選ぶことが重要です。
65歳を境とした注意点
65歳という年齢は、障がい福祉サービスと介護保険サービスの境目となるため、以下の点に注意が必要です。
1. サービスの優先順位: 65歳以上になると、原則として介護保険サービスが優先されます。ただし、障がい者グループホームに相当するサービスは介護保険にないため、多くの場合、継続して利用できます。
2. 知的障がい・精神障がいの方の選択肢: 認知症ではない知的障がいや精神障がいの方は、65歳以上であっても障がい者グループホームを選択できます。これにより、専門的な支援を継続して受けられます。
3. 身体障がいの方の注意点: 身体障がいのある方で65歳以上の場合、新たに障がい者グループホームに入居することは難しくなります。ただし、65歳前から利用している場合は継続利用が可能です。
4. 新高額障害福祉サービス等給付費: 65歳以上になっても必要なサービスを受け続けられるよう、この制度が設けられています。これにより、65歳以降も障がい福祉サービスの利用を継続できる可能性があります。
5. 共生型サービス: 介護保険と障がい福祉のサービスを一体的に提供する共生型サービスも選択肢の一つです。これにより、65歳以降も適切なサービスを受けられる可能性があります。
施設選びのポイント
65歳を境に施設を選ぶ際は、以下の点に注意しましょう:
1. 現在の障がい状況の確認: 知的障がいや精神障がいがある場合、65歳以上でも障がい者グループホームを選択できますが、65歳前に障がい福祉サービスを利用していたほうが、スムーズに利用ができます。65歳を過ぎて、新規で利用する場合は、自治体によっては制度の無理解で、利用申請が下りない場合もあります。
障がい者グループホームを利用したい場合は、できれば65歳未満で利用開始できると、その後の利用もスムーズになることが多いです。
2. 利用申請できる施設の場所を確認:障がい者グループホームの利用であれば、住んでいる都道府県に関係なくどの地域のグループホームでも利用できます。(受給申請が降りたサービスであれば、認定を受けた都道府県ではない地域のグループホームも利用可能)
しかし、介護保険の高齢者用のグループホームは、介護認定を受けた地域内のグループホームしか利用ができません。
3. 相談支援の活用: 障がい福祉サービスの相談支援専門員や介護保険のケアマネージャーに相談し、最適な選択肢を探りましょう。障がい福祉と介護福祉では、制度上違う機関となりますので、どちらも対応できる相談支援事業所は少ないです。利用したいサービスに応じた相談支援先を活用しましょう。
グループホームの選択は、個々の状況や必要とするサポートによって大きく異なります。65歳という年齢は一つの目安ですが、それぞれの障がいの特性や生活ニーズに合わせて、最適な住まいを選ぶことが重要です。専門家に相談しながら、自分に合ったグループホームを見つけていくことをおすすめします。
