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35歳からの自閉症スペクトラム ~自信喪失状態からの脱出~

 初めての方は初めまして、Yと申します。
 「私の体験談」として、前回に続いてこのコラムを書かせていただきます。
 今回は就労継続支援A型事業所(以降「就A」)での就労に伴う様々な体験談1です。
 そのため今回のお話は、就Aの就労時点から始まります。

 

不安だらけの就職

 就Aの就労が始まりましたが、不安だらけでした。
 と言うのも就Aの就労開始時点では、私は極度の自信喪失状態でしたので、何より、
「自分は駄目だ、できない」という思い込みが強く、何事にも「できる気がしない」ような精神状態でした。
 ですが、いざ「やらなければならない」状態に置かれれば、「嫌でもやってみる」ようになるものです。
 その結果様々な事を学び、徐々に自信を取り戻していきました。

 そうした体験談とそこから学んだ事をいくつか、ここで述べたいと思います。
 

やればできる、できれば自信になる

 まず1つ目の体験談ですが、就Aの仕事の1つにあった「お弁当箱の組み立てにおけるシール貼り」です。
 ある時、お弁当箱の袋へのシール貼りに取り組みましたが、指導員の方から「それでは遅い」とご指摘を受け、「どうすれば早く貼る事ができるだろうか」と考え、様々な工夫を凝らしました。その過程では思いついた事を何でも試してみました。
 その結果、他の人の平均と比較して3倍以上の速さで貼る事ができるようになり、他の方から驚かれました。
 またお弁当箱の組み立てにおいては、シール貼りを主に任されるようになりました。
 この体験は、
・「自分もやればできる」
・「何事も工夫が大事」
・「どんなアイデアも、試してみなければ、表に出してみなければわからない」
という事を、身をもって学びました。

 またこの体験は、自信を取り戻し始めたきっかけの1つでもあります。
 やはり、
・「他の人よりも出来た」
・「その仕事を主に任されるようになった」
事は、
「自分もやればできる」
と、大きな自信となりました。

 

私にとっての「当たり前」は、他の方は「当たり前」ではない

 次に2つ目として、「細かくノートにまとめ、メモを取った事」です。
 私は新たな仕事の指示・指導を受けるたびに、できる限り細かく手順をノートにまとめ、記録して2回目以降は自分1人でできるように努めていました。
 私にとっては当たり前に行っている、苦にならない事ですが、他の方にとってはそうでもなかったと気が付きました。
 そのため私は「細かくノートにまとめる、メモを取る事」が得意だと気付きました。
 更に、こうしたノートにまとめた副産物として、最近何年ぶりに作業を行う機会がありましたが、ノートのおかげで問題なくできた事もありました。

 今はillustratorを用いたお仕事にも携わっていますが、illustratorを学ぶ時にもその特長は活かされ、私のテキストは独自に気づいた事・皆様から教わった事などで書き込みだらけとなっています。そうした書き込みは様々な場面で役に立っています。
 また、「私にとっては当たり前に行っており、苦にならないが、他の方にとってはそうでもなかった事」の気付きは、これもまた自信を取り戻すきっかけの1つとなりました。

 今回の一連の体験談で学んだ事は、
 『いざ「やらなければならない」状態に置かれれば、「嫌でもやってみる」ようになる、その結果様々な事を学ぶ』
という事です。

 次回は、コミュニケーションについての体験談をお伝えしたいと思います。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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グルホネット編集部
グルホネットのコラム、取材記事といったコンテンツ作成を担当しています。就労継続支援A型に勤務されている利用者さんといっしょに作成しています。